Materials

Ei Nakamuraは、日々にそっと寄り添う衣服を、時間に耐える素材と丁寧な仕立てで育てていきます。最初に袖を通したときの感覚が、少しずつ体になじみ、記憶と混ざり合っていく、その「変化の美しさ」を信じています。
私たちは、可能な範囲で素材の来歴をたどり、関わる人たちと対話しながら、よりよい選び方を探ります。環境への配慮は、大きなスローガンではなく、毎日のささやかな選択の積み重ねだと考えています。

ここでは、製造の過程で本来は見過ごされる「省き」のムートンを選び直し、再編集して生まれる“Upcycled Mouton”の背景についてお伝えします。

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「省き」のムートンとは、染色の試験過程や毛並みの不揃い、穴あきなどの理由によって、製品として扱うことができず「省かれて」しまったものを指します。
そのため、元々は廃棄予定として工場の隅で眠っていた素材です。

Ei Nakamuraでは、廃棄予定だった「省き」のムートン生地を「忘れられた記憶」として掬い上げ、新たな息吹をもたらすプロジェクトとして活用しています。
色や毛の長さは不均一ですが、素材の不均一さは欠点ではなく、ひとつひとつの個体がもつ気配と捉えています。
長く着るほどに、その差異が装いの表情となります。

また、省かれる前に仕入れている先も、食肉用に屠殺された羊からとった毛皮であり、無駄のない循環の中にプロジェクトを位置付けることができます。
天然物はフェイクのファーとは異なり、土に還るため、次はまた別の命へと結ばれます。

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ムートンが持つ機能性についてはメニューの「Story」に詳しく記載しておりますが、高機能性はたとえ省きの素材であっても保たれています。
高い保温性、調湿性、クッション性などは天然のムートンが持つ強みです。
いまだにシーツではムートンに敵うものはないとも言われています。

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素材自体が持つストーリーもご一緒に楽しんでいただけますと幸いです。

今後もEi Nakamuraは深い物語を紡ぐための素材選びおよび開発に尽力してまいります。